- Panasonicのコーヒーメーカー「NC-A57」の特徴と、その実力の引き出しかた
- 家でひと手間かけて、カフェ並みのコーヒーを淹れる方法
お気に入りのカフェで、ゆったりとくつろぎながら飲むコーヒーって、ほんとうに美味しいですよね。ただ、手軽にカフェに行けない日もあります。
もしも、あなたが自分の家でカフェ並みのおいしいコーヒーを淹れられるとしたらどうでしょうか。
この記事では、珈琲きゃろっとさん推奨の淹れ方をベースに、われわれ夫婦が試行錯誤して辿りついた、コーヒーメーカーNC-A57の真の実力を引き出せる方法をご紹介します。
全自動コーヒーメーカーの名機 NC-A57
「NC-A57」は安定のパナソニック製。2023年10月現在、Amazonの評価は 星4.4/5(評価数2,364)となっています。
わが家は2020年に購入し、現在も愛用しています。
感想としては、こんな感じです。
<良い点>
- コーヒーの味が安定する。設定をいじれば、好みの味にできる。
- 手入れは最小限で済む(色んな部品が取り外しやすく、ストレスなく洗える)
- 必要な機能だけ付いている(これは人によるかも)
- デカフェ豆にも対応しているのが嬉しい
- 見た目がそれなりにお洒落で、キッチンで悪目立ちしない
<悪い点>
- 水容器内の活性炭フィルターは要らない(浄水器の水をコーヒーに使うので)
では、この神的コーヒーメーカーのポテンシャルを最大限に発揮させる方法をお教えします!
カフェ並みのコーヒーに近づけるためのコツ【5つ】
- NC-A57の設定は「中細挽きフィルタ」かつ「マイルド」で。
- 水容器に入れる水の量は、表記の半分にする(⇒2倍濃縮のコーヒー液ができる)。濃縮液に残り半分のお湯を足して完成。
- カップに注いで1分待ってから飲む。(舌が味をうまく感じられる温度まで、冷ます。)
- 粉で買わず、豆で買う。アルミの保存袋に入れて冷凍庫で保存。
- 淹れてから1時間以内に飲む。飲まない場合は、2倍濃縮のコーヒー液をそのまま急冷して冷蔵保存。
やることは以上です。これでおいしいコーヒーが作れます。特に味の違いが出やすいのは、2番目の「水量を半分にして抽出」することです。
コーヒーの味わいを決めるポイントは2つ
大前提として「好みの味のコーヒー豆を買うこと」は必要ですね。ですが、豆の家での管理方法や、淹れ方、淹れたコーヒー液の取り扱いによっても、大きく味は変わります。
クリーンな(=雑味のない)おいしいコーヒーを味わうために、2つのポイントがあります。
- 豆の「うま味」だけをたくさん抽出する
- 空気、湿気、高温から遠ざける
ポイント1.豆の「うま味」だけをたくさん抽出する
「うま味」と「雑味」の性質を書きます。
- お湯に溶けだす速さは「うま味」>「雑味」
- 豆を細かく挽く=溶けだす速さUP
- 蒸らしの段階で、すでに抽出は始まっている
お湯に溶けだす速さに違いがある、というのはイメージしずらいかもしれません。
例えば、麦茶パックで作った麦茶。麦茶パックを浸したまま放置すると、苦~い麦茶になりますよね。あれは、雑味が溶けだしてしまった結果です。
逆に、作ったばかりの麦茶は「味はうすいけど、甘みや風味は感じる」と思います。これは、「雑味」よりも「うま味」が先に溶けだし始めたということ。
うま味を引き出すコーヒーメーカーの設定&水の工夫
たくさんの「うま味」を抽出しながら、雑味は抑えたい。「うま味の波」・「雑味の波」が到達するタイミングはズレてはいますが、間髪入れずに来ます。
シビアなコントロールが必要になりますので、「NC-A57」をもってしても対応しきれません。そこで、「抽出に使う水の量を半分」にすることで、「雑味の波」到達前に、岸に引き揚げちゃいます。
コーヒーメーカーの設定と、味の印象
コーヒーメーカー「NC-A57」では、「豆の挽き具合」と「蒸らし時間」を調整できます。それぞれ2通りずつ選べるので、全部で2×2=4通りの選択肢があります。
豆の挽き具合は、付属のアタッチメントを取り換えることで調整できます。それぞれ「中細挽きフィルタ」と「粗挽きフィルタ」という名前が付いています。
蒸らし時間は、淹れる際に「リッチモード」と「マイルドモード」のボタン選択で調整できます。(リッチモードの方が、蒸らし時間が30秒~1分程度長くなるようです。)
抽出レベル | 挽き具合 × モード | 私の印象 |
粗挽き × マイルド | 味が薄い | |
中細挽き × マイルド | 丁度いい | |
粗挽き × リッチ | 少し雑味あり | |
中細挽き × リッチ | 雑味あり |
煎り方や味の傾向が違う3種類の豆で試したところ、全ての豆で、中細挽き×マイルドの設定が一番おいしいと感じました。
なお、水容器に入れておく水の量は、本来の目盛りの半分がベストでした(通常の75%、67%の水の量でも試したところ、雑味がやや強くなる印象でした)。
ちなみに、検証に使った豆は、スペシャルティコーヒーと呼ばれる”よい豆”です。「NC-A57」の取説では、スペシャルティコーヒーは「粗挽き×リッチ」で淹れることを推奨しています。
しかし、この組み合わせの場合だと、夫婦とも「やや苦くなりすぎて、豆のうま味が分かりづらい」という感想でした。
「水の量を半分に」って言うけど、味が薄くなるだけじゃないの?と思った方へ
私も、はじめは疑いました。水の量が半分ということは、「後半に抽出されるはずだった部分が抽出されない」わけですよね。
そこで、試しに抽出前半/後半のコーヒー液をそれぞれ別のカップに分けてみました。後半に淹れた液体をそのまま飲んでみると、とても飲めたものではありませんでした。味は薄いのに、ひどく苦くて、喉がジカジカします。
つまり一般的な淹れ方をしてしまうと、この後半の「味は薄いのに、ひどく苦い液体」が、サーバーに混ざってしまうわけですね。
うま味と雑味の話は、ここでおしまいです。
ポイント2.空気・湿気・高温から遠ざける
空気(酸素)の影響
カップに淹れてから時間が経ったコーヒーを飲んで、「油が回ったような酸っぱい後味」を感じた経験はありませんか?これは「豆の油分の酸化」が進んだことが原因です。
湿気の影響
焙煎した豆は、生豆から水分が抜けて、乾燥しています。湿気があると、焙煎豆と水分とが反応してしまい、酸っぱくなります(生豆の状態に戻ってpHが下がる)。
高温の影響
豆を保管する温度が高くなれば、酸化のスピード、湿気るスピードも速くなってしまいます。また、香り成分も揮発しやすくなります。
空気、湿気、高温にさらさないために
ここまで分かれば、やるべきことが見えてきます。豆や淹れたコーヒーを、できるだけ空気・湿気・高温に触れさせないためにどうしたらよいか。コツの4,5番目をおさらいしてみます。
- 粉で買わず、豆で買う。アルミの保存袋に入れて冷凍庫で保存。
- 淹れてから1時間以内に飲む。飲まない場合は、2倍濃縮のコーヒー液をそのまま急冷して冷蔵保存。
アルミの保存袋をぜひ買ってほしい
最近では、豆を購入したときにアルミの保存袋に入れてくれるショップも増えてきた印象です。
アルミの保存袋は空気・湿気へのバリア性能がとても高いため、豆の味の劣化を防いでくれます。おまけに遮光性能も高く、豆の保存以外でも長期保存に何かと重宝します。ふだん常備していない方も、ぜひ購入を検討されてください。
ジップロック系の保存袋(材質が”ポリエチレン”となっているもの)は、意外と空気・湿気へのバリア性能が高くありません。その証拠に、冷凍庫の匂いが食品に移ったり、霜が発生する場合もありますよね。
クレラップやサランラップ(材質が”ポリ塩化ビニリデン”のもの)の方が、ジップロック系よりバリア性能に優れています。(参考:旭化成)
他のコーヒーメーカーでの応用
応用できることは以下の二つです。
- 「蒸らし」の時間を作る
- 少なめのお湯で淹れた濃縮コーヒー液を、お湯で薄めて調整する
「蒸らし」の時間を作る
「蒸らし」時間は、30秒ほどで充分だと言われています。「蒸らしスタート」=「サーバーに最初の一滴が落ちたとき」です。
コーヒーメーカーによっては、蒸らしの時間が設定されていないものもあります。その場合は、事前にお湯を注いで、粉を蒸らしておき、抽出開始させればOKです。
抽出の途中でスイッチを切っても大丈夫な機種であれば、「蒸らしスタート」のタイミングでスイッチを切り、30秒待ってから再開すればOKです。
少なめのお湯で淹れ、薄めて調整する
他のコーヒーメーカーでも、水容器に入れる水の量を減らして淹れるだけで、もっとおいしくなるでしょう。
ただし、機種によって抽出方法に差がありますので、まずは半量を基準にして、水の量を変えながら「うま味を最大に、雑味を最小にできるベストな条件」を探してみてください。
さいごに(おいしい豆を買ってください)
「5つのコツ」を実践すれば、誰でもおいしいコーヒーを淹れられます。しかし、豆の品質が悪かったり、ショップでの管理状況が悪いと、もうどうすることもできません。
ぜひ、焙煎したての、質のよい豆を買ってください。今では様々なネットショップで、「注文後に焙煎したスペシャルティコーヒー」が手に入ります。しかも、大抵は初回お試しの特別価格が用意されていて、その場合は500円/100gくらいで買えます。
○記事の執筆にあたり、
- 「珈琲きゃろっと」さん
- 「BON COFFEE」さん
を参考にさせていただきました。